ふ〜、やっと先月の給与計算が終わった〜。
笹部さん、お疲れ様でした。給与計算は間違えたら、他の社員さんの迷惑に直結するから神経使うでしょう?
おおきに、鳥居さん。でもうちの会社の給与計算は、撫子先生にもらったこのエクセルファイルが、社保も税金も残業代も自動計算して給与明細も作ってくれるから、時間もかからなくなったし間違いも少ないんよ!ところで残業代のことでちょっとわからへんことがあるんやど、聞いてええやろか?
最近労務系の質問が多いですね。いったいどんなことですか?
このエクセルファイル、残業代の時間あたり単価を自動計算してくれるんやけど、残業代の区分に「時間内残業単価」と「時間外残業単価」の2種類があるんよ。時間外残業単価の方は25%割増になってるんやけど、残業したら一律25%増しで払わなあかんのちゃうかったっけ?
笹部さんは、きっと所定労働時間と法定労働時間の考え方がごちゃごちゃになってますね。まずはそこを押さえていきましょう。
所定労働時間と法定労働時間・・・。一字違いやけど、どう違うん?
所定労働時間は「会社が決める勤務時間」をいいます。で、法定労働時間は「法律で定められた労働時間の限度」をいいます。それで割増賃金を払わないとダメなのは、法定労働時間を超えて労働させる場合ですね。
うちの会社の所定労働時間は、入社した時の雇用契約書に書いてあるけど、一日7時間やね。
え〜いややわ〜鳥居さん。うちの名前は「菜穂美」って書いて、「なほみ」って読むんよ・・・。
あっ、ふりがなをしっかり読んでませんでした・・・すいません・・・。で、今野デザインさんの所定労働時間は、一日7時間で、一週間では35時間ですね・・・。ところで笹部さん、労働基準法上の労働時間の上限って知ってます?
えーっと、一日8時間で、一週間で40時間やったかいな?これを超えて働いてもらう場合には、36協定が要るんやったね。
その通りですよ。労働基準法で定められた労働時間の上限。これを法定労働時間といいます。多くの会社は「所定労働時間=法定労働時間」としていますが、今野デザインさんは所定労働時間の方が法定労働時間より短いんですよね。
法定労働時間を超えた労働が、割増賃金の対象・・・。あっ、そうかっ!うちの会社の場合、法定労働時間内の残業やったら割増する必要はないってことか!
そういうことです。じゃ、図を見ながら具体例を見て行きましょうか。まず一日の場合。次の図のように、定時の17時を超えて20時まで3時間、残業をしたケースを考えてみましょう。
一日の法定労働時間は8時間ですので、17時から18時までの一時間の残業は法定労働時間内の残業となり、割増は不要です。そして18時から20時までの2時間は法定労働時間外の残業となるので、25%の割り増しが必要ということになりますね。
8時間を境に、割増なしの残業と割増ありの残業に分かれるってことやね・・・。
次に一週間の場合をみてみましょうか。法定休日は4週に4日与えればいいので、土曜日は法定休日にはなりません。だから上の図のように、土曜日の労働の内、9時から15時までの5時間は一週の法定労働時間40時間内になるので割増は不要となります。
そして15時から17時まで2時間は40時間を超える法定労働時間外の労働となるので、25%の割増が必要です。
ちなみに日曜日は法定休日となるため、9時から12時までの3時間の労働は法定休日の労働になるため、35%の割増が必要となることになります。まあ今野デザインさんの場合、日曜日までぶっ続けで働くようなことはないでしょうけど・・・。
いや〜うち、社長に言われるがまま、所定労働時間を超えた残業は、一律割増で計算してしもてたわ・・・。社長に悪いことしたやろか・・・。
今野デザインさんの就業規則って、所定労働時間外の残業は、一律割増するってなってませんでしたっけ?就業規則が法律よりも労働者有利の場合は、そちらが優先になるので、笹部さんの処理で間違ってないことになりますよ。
あ、ほんまや、良かった〜。でもうちの会社って、つくづくホワイト企業やねえ。社長もお人好しすぎるんちゃうやろか・・・。